15年ぶりくらいに結婚式に出席した。新郎はいとこの息子テツヤ27歳。式場のロケーションは素晴らしく、料理も最高だったけどほとんど感動しなかった。目で追ってたのはション〇ン臭い嫁より彼女の母親のほうだったりして……
披露宴は凝ってたけどつまらなかった
ごめんテツヤ。おめでとうの気持ちがほとんどないんだ私。
テツヤのお父さんに頼まれて出席しただけなの。代理だったんだよ。あんたのおじさんがキャンセルしたからその代わりにね。
クソ忙しい中むりくり時間割いて片道1時間以上ひとりで運転して行ったのさ。貴重な土曜日 ホントは家でまったりしてたかったんだよね。
それでもひっさびさ華やかな席に何着てこうかけっこう悩んだなー。前の日にデパートなんか行っちゃったりして。めったに覗かないパーティドレス売り場でマゼンダピンクのドレスを試着して店員とキャッキャ言いながら。
結局なにも買わなかった。ワルいけどたった1回のためにウン万も出すのはもったいないって思っちゃったんだ。結局手持ちの服で間に合わせたよ。
白いブラウスとめっさ地味な黒いスカート。両方とももらいもの。テヘ(^.^)
てかそもそもテツヤ私のことぜんぜん知らないよね?
そりゃそうだ 25年ぶりくらいに会ったんだもん。テツヤが幼稚園児のときだから覚えてるわけないよね~。
可愛い顔は変わってなかったよー! 面影あるある。
あ、そうそう! 結婚式の費用 親に払ってもらったんだって?
あんたのお父さんが言ってたよ「あいつはまだ給料そんなに多くないから俺が出してやるんだ」って。
ダメじゃ~ん親に負担かけちゃあ! 実はあんたのお父さんだってそんなに高給取りじゃないんだよ~(^.^) あたしこのあいだ給与明細見せてもらったから知ってんだ。
ろくに貯金がないなら披露宴なんかやらなくてもいいから。やるならもっと簡素にしてくれ。見栄なんか張らなくていい。これからの生活費にまわしたほうが利口だぜ。
にしても今どきの披露宴はずいぶんハイテクなのねえ。プロモーションビデオが映画並みに凝ってた。編集ものすごく大変だったと思う。
でもあんたと嫁の映像。生まれてから高校卒業するまでの想い出のシーンとか中学のとき何クラブに入ってたとか。
ごめん、まったく興味ないわ。
担任のコメントもおもろくないしクラスメートも知らん。
職場の人たちも地味地味モード。上司のスピーチは見事にありきたりで心に染み入るものがなくて無難そのもの。短さだけが唯一の救い。
嫁側の親戚のおじさんだかが一人で酔っ払って何度も新婦の席に行って、そのたびに奥さんに連れ戻されてたよね。ああいうのはほのぼのしてて笑えたな。
すべてが型どおりに勧められていく披露宴
あまりに台本どおりだ。
華やかな集団の席に私の居場所は感じられない。
新婦の50代後半くらいの母親がなかなか色気があってセンスがよかった。どう見ても普通の主婦じゃない。
私は最初から最後までこの母親に注目してた。
黒いドレス。肩にかけた黒いケープ。
彼女は終始どうやったら魅力的に映るかを意識してたのがわかる。『主役は娘じゃなく私よ』と顔に描いてある。
タダものじゃない。
“飲み屋のママさんかブティックのオーナーだろな。こんな田舎にイイ女がいるもんなんだな~”
披露宴が終わり、私は預けてあったコートを受け取りにクロークルームに寄った。
そこにあの母親がいた。そしたら彼女が私に向かってこう言った。
「あーーー! あなたオスカルさんですかーーー!? サインもらおうと思ってたんですよーー!」
「ん??」
オスカルとはなんだ??
聞けば彼女は熱狂的な宝塚ファンだという。
そのとき私はウェーブのかかったロングのWIGを被ってたのだ。黒いロングスカートと白いブラウスを着てたためかオスカルかと思ったらしいのだ。
私が終始注目してたこの母親も、実は私のことをずっと見ていたということがわかった。なぜか嬉しかった。
この結婚式に出席して一番の収穫だ。
日ごろは没個性であるほうがなにかと好都合だが、特別な時くらいは自分の好きなカッコしてうんと個性的でありたい。
目立つのもいい。
目立つときっとイイことある。
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